展示概要

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文字と円——COCO144の紙の作品、1980年代のプエルトリコ
- 会期
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2026年5月14日―10月4日
- 会場
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LGSA by EIOS
- 協力
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大城 崇聡
LGSA by EIOSは、COCO144の個展「文字と円——COCO144の紙の作品、1980年代のプエルトリコ」を開催いたします。本展は、日本における同作家の初個展となります。
ニューヨークに生まれ、プエルトリコとイタリアをルーツとするCOCO144(本名:ロベルト・グアルティエリ、Roberto Gualtieri)は、1960年代の後半から1970年代の初頭にあたるエアロゾル・ライティングの黎明期に、その土台が築かれる過程において、重要な役割を果たした中心人物のひとりとして世界的に広く認知されています。
社会に緊張が広がり、生活者の姿が見えづらかった時代、COCO144は、地下鉄のネットワークにみずからの名前をかくことで、それがシンプルな署名から構造のある表現へと高められていく集団的なプロセスのなかに身を置いていました。その実践のひとつひとつは、リスクと意図の両方をはらむ状況のもと、瞬発力とコントロールによってかたちづくられました。
こうした文脈のなか、COCO144は、技法的にもコンセプト的にも、ライティングの可能性を刷新していきます。初期のステンシルの使用は、時間と空間の制約のもと、視認性と効率性を実現し、ストリートライターの多くがフリーハンドで描画していた当時にあって、独自の視覚的な規則性を確立しました。それは美学的なストラテジーであり、状況に対する機動力でもありました。
またCOCO144は、のちにライティング文化の代名詞となる要素の考案にも取り組みました。星やクラウンといったモチーフの発明は、作家性の発露であり、注目を集める方法であり、スタイルという概念の萌芽でした。意識して塗料をたらすドリップは、それまで技術の欠陥とみなされていた事象をペインタリーな表現へと転化し、新たなヴィジュアルの文法となりました。
1972年、作家はエアロゾル・ライティングの作品を初めてギャラリーで発表したストリートライターのコレクティブ「United Graffiti Artists(UGA)」の創設メンバーとなります。ニューヨークや各地での展示をとおして、UGAは、当時まさに台頭しつつあった次世代の感性によって美術制度に対峙し、ストリートと体制の関係をめぐる先行事例となりました。
1970年代のなかばには、初期の出版プロジェクトにも関わります。COCO144は、イタリアの研究者アンドレア・ネッリがニューヨークで実施したライティングの調査に同行し、それはのちにライティングを主題とする最初期の研究書『Graffiti a New York』(1978年)の刊行につながります。本書でCOCO144は、ニューヨークの代表的なストリートライターとして紹介されました。
本展「文字と円」は、作家が1980年代にプエルトリコですごした時期にフォーカスします。《LUNA AZUL》をはじめとする紙の作品では、制作の関心はライティングの論理に由来しつつも、より継続的なフォルムのありかたに移行しています。CとOの文字が反復され、「名前」は段階的に抽象化し、可読性と形体性のはざまを揺れ動くようです。
こうした形体が画面上で連鎖するにつれ、名前の構造はカーブや円弧のつらなりへと溶解します。同時に、色彩は線の内外で作用し、分離と編成を行き来しながらダイナミックな空間を創出しています。署名は放棄されるのではなく、拡張され、名前は固定された記号ではなく、異なる文脈において生成的に機能するシステムとして再定義されるのです。
50年以上にわたり、COCO144はみずからの方法論をたゆまず発展させてきました。それはある時代から生まれた芸術の形式(ライティング)が、その整合性を失わずに進展しうることを示しています。それは自己模倣ではなく、構造・変化・連続をめぐる探究です。時間を横断するように記憶と現在を内包し、作品を新たな風景へと拓いていきます。
本展は、COCO144の仕事を、その歴史的な意義と進行形の展開という両面から文脈化し、日本のオーディエンスに紹介します。慎重な観察、ダイアログ、批評的関与をとおして、起源と変容のあいだを往還しつづける貴重な作品に触れていただけたら幸いです。
プロフィール
COCO144(ロベルト・グアルティエリ)

1956年ニューヨーク生まれ。
COCO144は、現在のストリートアートの起源であるニューヨークのエアロゾル・ライティングの黎明期に、とくにその芸術性の開花において重要な役割を果たした中心人物のひとりであり、名前をかくという行為を、革新的な視覚言語へと昇華させた初期のストリートライターとして広く認知されています。マンハッタンの西ハーレムで育ち、1969年に活動を開始すると、はやくも1970年代の初頭には都市の全域にライティングをしたことを意味する「オールシティ」を達成しました。またこの時期に彼は、ストリートの表現にステンシルの技法を導入することで、描画の精度とグラフィックの統一性を向上させました。そのアプローチの先駆性は、エアロゾル・ライティングの運動において重要な転換をもたらしました。
1973年には、エアロゾル・ライティングをギャラリーへと移行させた最初のコレクティブ「United Graffiti Artists」の創設メンバーとなり、Razor Gallery(ニューヨーク、1973年)をはじめ、シカゴ科学産業博物館(1974年)やArtists Space(ニューヨーク、1975年)などで展示をしました。以降も「ハバナ・ビエンナーレ」(第9回、2006年)、「Born in the Streets」展(カルティエ現代美術財団、パリ、2009年)、「Art in the Streets」展(ロサンゼルス現代美術館、2011年)、「City as Canvas」展(ニューヨーク市立博物館、2014年)、「La Morsure des Termites」展(パレ・ド・トーキョー、パリ、2023―24年)、個展「Eterno」(レボルギャラリー、メキシコシティ、2026年)など、国際展に多く参加しています。
半世紀以上にわたり、COCO144は名前をベースとする抽象の表現を深化させ、アンダーグラウンドな起源と制度による評価のあいだを架橋してきました。現在もニューヨークを拠点に活動しています。
関連リンク
インスタグラム|instagram.com/coco144
関連イベント #1

- シリーズ/#
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展覧会関連トーク #3
「文字と円——COCO144の紙の作品、1980年代のプエルトリコ」展
- タイトル
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COCO144 渋谷での対話——東京での初個展とプエルトリコ時代
- 出演
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COCO144(アーティスト)
- モデレーター
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大山エンリコイサム(美術家)
- 日時
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2026年5月14日(木)
開場 15時30分
開始 16時00分
終了 17時30分
- 会場
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LGSA by EIOS
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町11 – 6 DAGビル 401号
- 形式
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公開収録
本トークは動画の公開収録として会場で参加できます。参加方法はページ下部をご覧ください。
動画は後日、大山エンリコイサムスタジオ公式YouTubeプログラムにて無料でご覧いただけます。
- 参加
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参加には事前のチケット購入が必要です。
1,000円(税込) 購入する
※ 収録開始の30分前に開場いたします。受付にチケット購入画面をご提示ください。
※ 席数が限られるため、かならず来場前にチケットの購入をお願いいたします。
※ イベント時は資料室としてのご利用はできません。あらかじめご了承ください。
本トークは、5月14日(木)からLGSA by EIOSにて開催される「文字と円——COCO144の紙の作品、1980年代のプエルトリコ」展の関連イベントです。エアロゾル・ライティングの初期実践者COCO144の日本初個展に合わせた来日の機会に、同展について、またストリートアートの歴史について伺います。
これまでもさまざまなストリートアーティストが日本を訪れましたが、エアロゾル・ライティングの最初期である1970年代について、当事者の視点から語ることができる人物は限られます。第一世代の多くが60代後半にさしかかるなか、とくに記録の少ないこの時期のオーラルヒストリーの意義は言を俟ちません。
また本トークでは、COCO144にとってターニングポイントとなった1980年代のプエルトリコ時代について詳しく尋ねていきます。展覧会の内容とも関連するこのテーマは、時代や地域といった環境的な要因が、アーティストの創造性に与える影響について、具体的な知見を与えてくれるでしょう。
トークの聞き手は、これまで自著や雑誌のインタビューをとおして、日本語圏でCOCO144を紹介してきた美術家の大山エンリコイサムが務めます。ニューヨークでの出会いから本人と15年におよぶ親交を続けてきた大山は、作家を理解して言葉を交わせる数少ない日本人のひとりです。
近年グローバルに進行するエアロゾル・ライティングの歴史研究やアーカイブ構築にとって、COCO144の活動やその周囲での事象は、優れた情報源であり、同文化を理解するための糸口になります。本トークが、東京においてそうした動向に同期していくためのきっかけを提供できればと考えています。
関連イベント #2

- タイトル
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特別講義
歴史をかたどる——COCO144とエアロゾル・ライティングの誕生
- 出演
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COCO144(アーティスト)
- モデレーター
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大山エンリコイサム(美術家)
- 日時
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2026年5月18日(月)
開始 18時00分
終了 19時30分
- 会場
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東京藝術大学 上野キャンパス 国際交流棟 3階 コミュニティサロン
〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
上野キャンパス案内図19
- 対象
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東京藝術大学在学生および学外聴講可(事前申込)
- 参加
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事前の申し込みが必要です。
事前申込
- 主催
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東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科・音楽学部音楽環境創造科 毛利嘉孝研究室
- 共催
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LGSA by EIOS
現在ストリートアートとして知られる現象は、1960年代末から70年代初頭のアメリカ東海岸の都市部を起源とする。当時のニューヨークでは、少年少⼥たちが⾃⾝の「名前」を地下鉄やストリートにかくことで、アイデンティティを証明しようとした。当時「ライティング Writing」と呼ばれたその動向の中⼼⼈物のひとりがCOCO144である。本特別講義では、エアロゾル・ライティングの隆盛とともにそのキャリアを形成し、現在も現役のアーティストとして活動するCOCO144をゲストに迎え、同⽂化の歴史、現在、そしてそこから⽣み出された作品や表現について論じていく。
関連イベント #3

- タイトル
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特別講義
表現とアイデンティティ——COCO144とニューヨークの署名の芸術
- 出演
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COCO144(アーティスト)
- モデレーター
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大山エンリコイサム(美術家)
- 日時
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2026年5月21日(木)
開始 17時10分
終了 18時30分
- 会場
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東北芸術工科大学 本館407講義室
〒990-9530 山形県山形市上桜田3-4-5
- 対象
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東北芸術工科大学在学生および学外聴講可(申込不要)
- 主催
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東北芸術工科大学芸術学部美術科
- 共催
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LGSA by EIOS
芸術表現は、個⼈のアイデンティティを映し出すスクリーンである。その個⼈は、さまざまな社会的・環境的な要因でかたちづくられる。つまり芸術表現は、個⼈のなかで濾過されたパーソナルな要素とソーシャルな要素の複合体のあらわれであり、その客体化である。エアロゾル・ライティングは、「ストリートに名前をかく」という簡潔かつ本源的なアイデンティティ表現のありかたを提⽰している。本特別講義では、エアロゾル・ライティングの先駆者であり、現在も現役のアーティストとして活動するCOCO144をゲストに迎え、表現、アイデンティティ、そして社会環境の関わりについて考えていく。